決まっているでしょう
人心を惑わすためよ
ほかにどんな理由があると
思ってたの
大先輩は
じまんの鼻先を空に向けた
ほらほら
そんなに落ち込まない
そのくらいの覚悟
あなたにもあるでしょうに
それとも
少し間をおいて
大先輩は静かに問う
人らの慰めになることを
書きたいの?
いまさら?
わたしが答えに困っていると
大先輩はくすりと笑う
だから
あなたの書くものは
どこか甘ったれてるんだわ
ま
それがいいところなんだけど
じゃあね
鍵しっぽを大事にしなさいな
一方的に通信は切れ
画面が暗くなる
先輩
詩を書くのはどうしてですか?
ささやかで深い疑念を
あっさり受け止めてくれるのは
今も昔も先輩だけだ
どれほど理不尽な答えをもらったとしても
わたしは
この大先輩が大好きなのである
わけもなくひたすらに