猫街暮らしの詩人さん

猫街に暮らす詩人さんのひとりごと

憧れの先輩

決まっているでしょう

人心を惑わすためよ

ほかにどんな理由があると

思ってたの

 

大先輩は

じまんの鼻先を空に向けた

 

ほらほら

そんなに落ち込まない

そのくらいの覚悟

あなたにもあるでしょうに

それとも

 

少し間をおいて

大先輩は静かに問う

 

人らの慰めになることを

書きたいの?

いまさら?

 

わたしが答えに困っていると

大先輩はくすりと笑う

 

だから

あなたの書くものは

どこか甘ったれてるんだわ

それがいいところなんだけど

じゃあね

鍵しっぽを大事にしなさいな

 

一方的に通信は切れ

画面が暗くなる

 

先輩

詩を書くのはどうしてですか?

 

ささやかで深い疑念を

あっさり受け止めてくれるのは

今も昔も先輩だけだ

どれほど理不尽な答えをもらったとしても

わたしは

この大先輩が大好きなのである

 

わけもなくひたすらに

 

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