猫街暮らしの詩人さん

猫街に暮らす詩人さんのひとりごと

1日限定

“1日だけ”

 

そんな約束で

猫と入れ替わりました

もともとこちらも猫みたいな

一人上手

 

猫は猫で

人の言葉をよく理解し

散歩も好きで家にいるのも好き

どこか番犬のようです

 

“1日だけ”

 

たまにはそれもよかろうと

快諾したのです

 

それなら例えば

日頃の睡眠不足をおぎなうか

屋根裏の探検でもしてみるか

 

それともこうか

言いたいことも言えずに別れた恋人の

頬でも引っ掻いてやりましょうか

 

そんなことをつらつら考えながら

結局ふたりとも出かけなかったので

人の姿で猫の魂

猫の姿で人の魂

なんとなく居心地よくて

そのまま長い長いお昼寝をすることに

したのでした

 

“1日だけ”

 

そんな約束で

猫と入れ替わりました

 

時間の吹きだまりで

本当に起こった

なんでもない日のできごとです