猫街暮らしの詩人さん

猫街に暮らす詩人さんのひとりごと

始まり続けることは終わり続けること

かちんかちんの店には

冷凍庫のそばに時々

頑丈そうな傘が置いてある


忘れものなのか

気まぐれなのか

もう雨の心配をしなくてよくなったというのに

冷凍庫のそばに時々

頑丈そうな傘が置いてある


空が落ち始めて今日で一年

そこにいた人たちが本当はどこへ行ったのか

よくしたもので

やっぱり何ひとつ伝わってはこない


始まり続けることは終わり続けること

そして

循環し続けること

だから

必要以上に悲しんだり悔やんだり

しなくてもいいんじゃないのかな


落ちてきた空を片付けながら

誰かがそう言っていた


壊れかけた星のことを

愛しているわけではないし

しがみつきたいわけではないけれど

多分みんな

ここが嫌いではないのだ


頑丈そうな傘の持ち主も

そうに違いない