猫街暮らしの詩人さん

猫街に暮らす詩人さんのひとりごと

エイプリールの残酷な夢

手紙を見つけました

 

あの日

あなたのやさしさに救われました

今度

声をかけたらご迷惑でしょうか

走り書きすら残せませんでした

あなたを困らせてしまいそうで

いつものお店

いつもの席で待っています

思い切って話しかけます

 

そんな言葉にのるほどこどもでも大人でもなく

躊躇なく破り捨てました

 

彼女にはじゅうぶんわかっていたのです

他愛のない

エイプリルフールの残酷な夢でしかない

 

誰かの作り上げた虚像と心中する気にもなれず

彼女は昨日のことを忘れることに決めたのです

 

すっかり燃やすことにしたのです