猫街暮らしの詩人さん

猫街に暮らす詩人さんのひとりごと

トーザ・カロット岬の毛糸屋さん-3

昔むかーし

今でいう猫という生き物に

それはよく似た

二本足の生き物がおってな


島のはずれのなんとかいう岬で

毛糸屋さんを

しておったそうな


不思議な毛糸玉を

どこからか仕入れては

ころんころんした手で

そーっとそーっと

おとさんように気をつけて

箱に詰めたり

袋に入れたり

棚に並べたり

しておったそうな


毛糸玉の中には

鈴のような音色を奏でるものがあって

編み物をする人の心を

そーっとそーっと

なぐさめてくれたそうな


とりわけ風の強い午後には

学校帰りの娘さんが

髪を揺らしてお店にきておったそうな

そして


続きは

この猫が起きてからにしようかね


おじいちゃんは膝の上のミケを

そーっとそーっとなでながら

にっこりしました