猫街暮らしの詩人さん

猫街に暮らす詩人さんのひとりごと

背中越しに光が落ちて

わたしの欠片を隠してく

追い抜きざまの薄い影が

あなたの欠片を崩してく


遠ざかるほどに引き寄せられ

近づくほどに引き裂かれ

触れ合えば秘めやかに

羽毛が揺れた


魂の行方をたずねても

答えはついに返らなかった


焦がれるほどに悲しくて

離れるほどに愛しくて

触れ合えば甘やかに

羽音が響いた


背中越しの光にやがて

わたしの欠片は浮き上がり

追い抜きざまの薄い影が

あなたの欠片を崩してく



~映画「無伴奏」によせて