猫街暮らしの詩人さん

猫街に暮らす詩人さんのひとりごと

再生

つるはしとシャベルを握り
岩盤の前に立つ


おもむろに振り上げ
思いきり振り下ろす


パラパラ小石がこぼれ
砂混じりの風は頬をかすめた


傷つくのも厭わず
何回も何回も
岩を削って中身が見えないかと
穴を覗き込む


おそろしく暗くて
見たことがない色


おそろしく深くて
見たことがない闇


そっと指先ですくって
真新しいノートに
はらはら落とした


そしてまた
わたしが生まれた