猫街暮らしの詩人さん

猫街に暮らす詩人さんのひとりごと

春いろバス

遅れたバスは薄い春いろ
紙袋を抱えたままで
彼女はやってきた

 

どうしても
会いたくなったの
どうしても

 

遅れたバスは薄い春いろ
紙袋を抱えたままの君を乗せて
走ってた

 

どうしても
猫になりたいの
どうしても

 

薄い春いろしたバスは
止まったままの時計のように
黙って僕らを抱きしめる

 

知るたびに何かを手放して
手放すたびに何かを知るのに
傷ついた瞬間と傷つけた瞬間は
綿毛みたいに漂ってた

 

あのバスは薄い春いろ
くしゃくしゃの紙袋を抱えたままの君を乗せて
走ってた