食器棚の上に手が届かない。
拭き掃除をしたいのだが、踏み台を倉庫から持ってくるのも億劫だ。
そこで、小さなモップをそーっと浮かせて、ゆっくり埃をかき集めた。
かさり。
不穏な音とともに、何かが落ちてきた。
びっくりしたはずみで魔法が解け、モップがあさっての方向にすっ飛ぶ。
かさりと音をたてたそれは、乾燥させたほうれん草だった。
もしものために買い置いていたのだ。うっかりしていた。
食べてくれろ〜と存在を主張しているようだ。
スープには違う野菜を使ってしまったし…そうだ、ご飯に炊き込んでしまえ。
雑穀を入れることも切り干し大根を入れることもある。水加減が少しばかり多くなっても、いい感じに仕上がる。
栄養的にも精神的にも、もちろんいい感じ。
モリモリ食べたら、また掃除の続きを。
(モップはどこだろ?)