猫街暮らしの詩人さん

猫街に暮らす詩人さんのひとりごと

ショコラオレンジ

闇は、ショコラオレンジの色を纏う。

甘く苦く。

ずっと舌の上で遊ばせれば、だんだん血の味に変わるのだ。

 

画面のきみに笑顔ではなく、背中を向けてしまった。

言い訳が見つからない。イライラとスマホを弄ぶ。

いやいや、それはどうなんだと思い直し、

指先から暴言が溢れぬよう、

ひと口サイズのスイーツに救いを求めた。

 

5粒も口にほうりこめば。

 

カリカリもぐもぐ。

リスのようにオレンジ味のチョコを齧る。

甘く苦く、とろけて血の味になった。

 

あたしの闇は、それでいくらか払われて。

スマホのバッテリーを確かめ、時刻を確かめ、

ホラー小説をアプリで開いた。

 

一向に既読にならないLINEは、お互い様で。

もはやゲームみたいな、ハイタッチみたいな。

 

しびれを切らしたどちらかが、結局電話をかけて。

なし崩しに喧嘩は終わる。

 

そうやってふたりは続いてる。

そうやってふたりは少しほがらかになれる。

 

遠くても。逢えずとも。

 

 

f:id:Sala-Y:20220315111004j:plain