闇は、ショコラオレンジの色を纏う。
甘く苦く。
ずっと舌の上で遊ばせれば、だんだん血の味に変わるのだ。
画面のきみに笑顔ではなく、背中を向けてしまった。
言い訳が見つからない。イライラとスマホを弄ぶ。
いやいや、それはどうなんだと思い直し、
指先から暴言が溢れぬよう、
ひと口サイズのスイーツに救いを求めた。
5粒も口にほうりこめば。
カリカリもぐもぐ。
リスのようにオレンジ味のチョコを齧る。
甘く苦く、とろけて血の味になった。
あたしの闇は、それでいくらか払われて。
スマホのバッテリーを確かめ、時刻を確かめ、
ホラー小説をアプリで開いた。
一向に既読にならないLINEは、お互い様で。
もはやゲームみたいな、ハイタッチみたいな。
しびれを切らしたどちらかが、結局電話をかけて。
なし崩しに喧嘩は終わる。
そうやってふたりは続いてる。
そうやってふたりは少しほがらかになれる。
遠くても。逢えずとも。