ようやく瓶詰の味噌が底をつく。
土産にもらって、少しずつ舐めて…正確には料理に使って…いたのである。
「そうだ、これやるよ」と
無造作に食卓に置いて、そのまま帰ってしまった。
以来、ご飯や煮物、スープの隠し味、
ポテトサラダの味変などと大活躍。
ホワイトデーに託けたわけでもなかろうが、
それはそれで気持ちのよいプレゼントである。
一緒にいた頃は、さりげない気遣いすら忘れがちで。
お互い様、が悪い意味で常態化した。
距離は何かを変えていく、確実に。
ようやく瓶詰の味噌が底をつく。
土産にもらって、少しずつ舐めて…正確には料理に使って…いたのである。
瓶だけ返す約束をした。明日はその日。
綺麗にこそげて、丁寧に洗う。
匂いとりの極意をネットで調べ、丁寧に乾燥させる。
もちろん、消毒もしておいた。
この中に自分自身の良い感情だけを詰め込みたい。
愛をポタポタと垂れ流すことができるのなら。
惜しみなく憚りなく。
自由自在に。