春寒や 猫と競いて 膝枕
沈丁花 香り閉じこむ 文の奥
乳白の 空ひともぎり 春の朝
月も寝入り 海向こうは朝 きみおもふ
面映く ただ面映くひとつ傘
哀しみの 分け隔てなく朝明ける
アスファルトに鳴る雨音や 君想ふ
呼びかけても 恋さし違う蝉しぐれ
内臓までも 熱くしていくきみの声
南風にストール揺らし きみを待つ
蝉時雨 傘に隠れるふたりかな
すれ違い 怒り喜び見殺しにする
君の名は 思ひ届けや秋茜
まどろみを 甘く破られ虫時雨
誕辰の にぎわひ遥か夏深し
夏いきれ 振り向きざまの嘘ひとつ
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