猫街暮らしの詩人さん

猫街に暮らす詩人さんのひとりごと

桜を知らない人の手

その春

桜のない土地にいて

桜を知らない人といた

 

その春

桜は蕾のままだったらしいよと

桜のない土地の人から聞いた

 

その春

桜は枯れたんだってと

桜を知らない人が嘆いた

 

桜のない土地で

わたしは桜に焦がれる

桜を知らない人と手をつなぎ

美しいんだよ、と握り返した