電波の届きにくいその部屋で
あとどのくらいですかと尋ねた
命が
ではなくて
死が
でもなくて
ましてや生でもない
ただ尋ねたかったのだ
応える声を確かめたかったのだ
電波の届きにくいその部屋で
あとどのくらいですかと尋ねた
時間のことでなく
空間のことでもなく
ましてや
積み重なった不安要素ですらなかった
ただ尋ねたかったのだ
応える声を確かめたかったのだ
あなたに会う理由を携えて
こうして向かい合っているのだから
だんだん壊れていくあなたと
だんだん彩られていく冬を
繋ぎ止めたくて
こうして向かい合っているのだから