猫街暮らしの詩人さん

猫街に暮らす詩人さんのひとりごと

焦燥

電波の届きにくいその部屋で

あとどのくらいですかと尋ねた

 

命が

ではなくて

死が

でもなくて

ましてや生でもない

 

ただ尋ねたかったのだ

応える声を確かめたかったのだ

 

電波の届きにくいその部屋で

あとどのくらいですかと尋ねた

 

時間のことでなく

空間のことでもなく

ましてや

積み重なった不安要素ですらなかった

 

ただ尋ねたかったのだ

応える声を確かめたかったのだ

 

あなたに会う理由を携えて

こうして向かい合っているのだから

 

だんだん壊れていくあなたと

だんだん彩られていく冬を

繋ぎ止めたくて

こうして向かい合っているのだから