猫街暮らしの詩人さん

猫街に暮らす詩人さんのひとりごと

スイッチ

スイッチが入る。

黙々とダンボールを組み立て、去年は手放せなかったものたちを、おさまりよく詰めていく。

 

いつの日か、のんびりまとめて見るんだ。

 

…は、いつまでもやってこない可能性が高い。

これまでもそうだった。

 

資料を作るわけではない。

まみれたいわけでもない。

コレクター願望もない。

 

好き。

敬愛。

ファン。

 

どれも程よく当たっているが、生活の全てではない。

読み返したい、見直したい、となればレンタルや電子書籍も豊富だ。

かくして、体力と気力のバランスがとれた日を見極め、本棚を空けていく。

 

〇〇買取、メ◯カリなど、受け入れ先も多いのだが、我が家は某企業の部署に頼りっぱなしである。

 

ピンポーン!

約束の時刻に、いつもの宅配のおじさんがやってきた。

箱をおじさんに託し、ようやく解放された気分になる。

 

あれだのこれだのをおもいきりよく手放す。

その後、ちょっとさびしくなるのも、ご愛敬。

それこそ「いつか本当のひとりきり」になった時、後悔しないための、ささやかな抵抗なのである。

 

空(から)になれば、必ず新しい何かと出会う。

それもまた美しい。